一善小行
一善小行とは、わずかでも修行を積むことで、その徳により仏の悟りの世界に近づくことができるという意味です。
実は、皆さんがお寺やお墓にお参りをすることや、自宅の仏壇にお参りするという行いの中には、五つ修行が存在しており、また同時にその修行を実践していることになります。
一、浄水(じょうすい)。清らかなお水を供えることで、自分も相手もその心が洗われ、綺麗になる布施行である。
二、仏花(ぶっか)。仏様にお供えするお花はとても美しい。その美しい花を見ると心がなごみ、自然に落ち着くことができます。優しいその姿で心静かに耐え忍ぶという柔和忍辱(にゅうわにんにく)の心を表す、忍辱の行である。
三、お香。香の煙のように、仏の慈悲を広く人々に行きわたらせる様。また、お線香が最後まで燃焼するように、一生懸命努力するという精進の行である。
四、お供物。仏様に私達と同じ食べ物をお供えします。仏様と自分が一つの命で繋がっていることを知ることで、心を鎮める禅定(ぜんじょう)の行である。
五、燈燭(とうしょく)。ともしびは仏様の慈悲の光、智慧の光を表し、悩みや煩悩の闇をこの光によって滅する、智慧の行であります。
私達のお参りをするという行いの中にも、たくさんの教えが示されています。その意味を知ることで、仏様の教えの深さを感じることができるでしょう。
身近なところにある小さな修行こそ、気付けば大きな徳となっているのです。
これからも、一善小行に励んでいきましょう。